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企業理念 - Corporate Philosophy -

生活者の視点で考える省エネルギー

家庭のエネルギー消費は4要因の組合せ

家庭のエネルギー消費は以下の4つの要因の組合せで決まります。

1.気候風土

どんな気候風土のところに住んでいるかによってエネルギー消費が違ってきます。日本は南北に長い風土を持っているので、当然北海道と沖縄では気候風土が全く違い、エネルギー消費の特徴(用途、消費増大時期等)も異なります。加えて、同じ気候風土の地域にお住いの場合でも、住宅や建物が密集している市街地なのか郊外なのかでも違い、同じ市街地でも緑や水、土が近くにあるか(多いか)によっても違ってきます。一般的に郊外よりも市街地の方が暑く、同じ市街地でも緑の多い公園や大きな河川の側は涼しいです。
本来衣服や住居、食べ物等は気候風土に影響され、その土地土地のものがありました。和辻哲郎が言ったように「風土が人間に影響する」ものでしたが、現在はエネルギーによって気候風土の影響を取り払うことができるようになったため、全国、同じような住宅や季節はずれの食べ物や衣服などが出てきました。しかし冬のイチゴや夏の背広にネクタイ等季節に合わないものには作るためやその衣服で快適に過ごすために多くのエネルギーが必要となります。

2.住宅

本来住宅はその地域の気候風土を人の暮らしに合わせ快適性を向上させるためのものです。北国には寒さを防ぐ工夫があり、南の地方には「庇」のように暑さを和らげるための工夫がありました。その昔、冷房のない時代は、兼好法師が言ったように「家は夏を旨とすべし。」という考えがあり、それに基づいて風通しのよい家、土や紙等の呼吸する材料を多用して湿気をコントロールできる家など、今で言うところのパッシブソーラーの発想が生きている家が多く作られていました。現在、騒音、プライバシー、防犯等、様々な理由から閉じた家が多くなっているように見えます。また窓を大きくした明るい家も多く、その分窓からの熱の出入りも多くなっているようです。その地方地方の伝統的な住宅から全国一律的な住宅への変化に伴い、エネルギー消費も変化していっているようです。自分の住む地域の自然(気候風土)を上手く利用し、折り合うところを工夫して、それでも足りないところをエネルギーを使うという日本古来からの「和の暮らし」の思想が住宅から薄くなっているように感じます。

3.機器

機器はそれが設置される住宅とそれを使う人によって決まります。また選んだ機器がどんな機能や特徴を持っているかをよく知って使うことも重要です。そのためには我が家で一番多くエネルギーを使うもの(エネルギーの用途別割合)を知り、そこに最も性能のよい機器を配置することが、最も効果的に省エネする方法です。一般的には家庭の電力消費の用途別割合では、エアコンが約27%、冷蔵庫が16%と言われていますが、暖房をエアコン以外で行っている家庭やエネルギー消費効率の高い冷蔵庫を設置して居る家庭等はこの割合ではありません。例えば現在計測しているある家庭では暖房は給湯式床暖房で冷蔵庫はトップランナー基準を満たす5つ☆ですが、そこでの冷蔵庫の消費割合は約8%程度と低くなっています。
このように我が家で何に最もエネルギーを使っているかは、個々の家庭で異なります。

また、自分の持っている機器が最も効率よく稼働する条件などをよく知って使うことも重要です。例えば冷蔵庫は中の熱を外に出して中を冷やす機器です。そのためには中の熱が外に出やすいようにしておくことが必要です。熱は通常の状態では温度の高い方から低い方に流れます。この二つのことから、冷蔵庫を効率よく使用するためには、放熱しやすいように壁からの距離を開け(5cm以上)、冷蔵庫の周辺を涼しくしましょう。つまり、直射日光が当たったり、炊飯器や電気ポット等の熱を出すものを近くに置かないようにしましょう。

4.人

家庭のエネルギー消費を最も左右するものは、そこに暮らす「人」です。家族人数、個々の家族の年齢、ライフスタイル、ライフサイクル、生活へのこだわりや嗜好性、ペットの有無等によってエネルギー消費は大きく影響を受けます。単身者世帯と2人暮らしではエネルギー消費量はそれほど変わりませんが、同じ3人暮らしでも「夫婦と受験生」、「夫婦と乳児」、「夫婦と社会人の子ども」、「高齢者夫婦とその親」では全くエネルギー消費量や特徴が違います。「高齢者夫婦とその親」は在宅率が高く、暖房、照明、テレビにエネルギーが多く使用されることが多く、一方「夫婦と受験生」では全体的にエネルギー消費量が多く特に、冷暖房と給湯のエネルギー消費が多い傾向が見られます。
また最近の特徴として「ペット」に使用されるエネルギーが増加しています。ペットのための冷暖房、照明、空気清浄機等のエネルギー消費が見られます。誰も在宅していない時間にペットのためにエアコンがかかり、照明がついているような家庭が見られるようになりました。